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車​掌​も​ひ​と​り​ぼ​っ​ち​(​The Conductor is Lonely Too)

by Miya Matsuoka

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1.
失敗だらけの仕事の途中  乗り換え 改札 連絡通路 営団線から 私は  都営地下鉄大江戸線へ テレパシー 感じる  誰かの おまつり 車掌の下痢 内密  つたわる つたわる 出ちゃうよ 出ちゃうよ   天井 雨漏り しみ しずく 側溝 急流 下水道  上司の叱責 脂汗 エスカレーター  エスカレーター  くるりまわってまた踊り場から エスカレーター  そしてスロープ  くるりまわってまた踊り場から エスカレーター エレベーター  くるりまわってつぎ階段 エスカレーター  エスカレーター  バトンリレーは届かない 地下のケーブル 無線LAN  宇宙から届くメッセージ 大腸 小腸 十二指腸  車掌の胴体 弾丸列車 共鳴するのは私の楽器  ばかだにゃー (ばかだにょー) 校門からは さよなら先輩  またきて後輩 そっとつながる エスカレーター  エスカレーター  くるりまわってまた踊り場から エスカレーター  そしてスロープ  くるりまわってまた踊り場から エスカレーター  エレベーター  くるりまわってつぎ階段 エスカレーター  エスカレーター  バトンリレーはあと少し 天網恢々疎にして漏らさず 壁に耳あり障子に目あり 悪事は千里の岡をこえ  人の噂も75日 修学旅行の伝言ゲーム  バスのなか 最前列で 松岡さんが酔いました  どこかにビニールないですか 高速道路の途中でいつも ついてけないのは置き去りに 周回遅れの涙はいつも  パイプに詰まって困るから 消化器内科 シクシク下る  人に優しい 駅のスロープで ぼとぼと吐き出す 壊れた車掌   ぽろぽろ伝わる 壊れた私 いっしょに壊れてしまうのも  いっそそれでもいいじゃない 涙腺 胸腺 リンパ腺  ウィルス 拡散 空気感染 死にたい 死にたい を  POSシステムで 監視して くらやみで 手をつなぐ  それはどこまでも深い大江戸線 ぐるぐるぐるぐる つながる つながる ぐるぐるぐるぐる つながる つながる ぐるぐるぐるぐる つながる つながる あーーー ぐるぐるぐるぐる つながる つながる ぐるぐるぐるぐる つながる つながる ぐるぐるぐるぐる つながる つながる ぐるぐるぐるぐる つながる つながる ぐるぐるぐるぐる つながる つながる ぐるぐるぐるぐる つながる つながる 途中下車して くそが出て  それもまた どっかの 経路
2.
骨と皮の上級生  骨と皮の上級生 骨と皮の上級生  あなたのことが好きだった 骨と皮の上級生  光の国からやってきた  骨と皮の上級生  みんながあなたを好きだった その夏 小学校のクラスで話題になるのは  いつも その人だった  その人は女の上級生で  骨と皮のように痩せているらしい  というひとだった わたしは そのひとを見たことは なかったけれど  みんなのおしゃべりのチェーンに巻き取られて  いつしか その輪に 加わるようになった  その人はいつも体育を休んでいるんだって  とか  その人が赤いオシッコをしていたんだって  とか  平均年齢10歳10ヶ月のチャ―ミーたち  人工皮膚で出来た風船を  膨らませるだけ 膨らませて  飛ばすよ 夏へ 骨と皮の上級生  骨と皮の上級生  骨と皮の上級生  水着の胸まで高鳴った 骨と皮の上級生  骨と皮の上級生  骨と皮の上級生  プールの水まで熱かった 少女たちは 一度は骨と皮のとりこになる  茶色い風吹く夏草の道  少女たちはバスのシートで  胃袋の中身をいっせいに広げて自慢する  バス停で降りたら少女たちは  こよりの紐を手綱の代わりに  なぜか自信に満ちた足取りで 丘を登ってゆく  少女たちの数値は 30とか40とかの間にとどまりながら  少女たちは チョコレートパフェが止められない  パフェのバナナの輪切りの窓から  外の様子を伺いながら  少女たちはいつだって 受け皿でありたい  銀のチェーンに巻きつけられて  削れるだけ削った柔らかい身体で  じゃあまたねって  手を振るの 骨と皮の上級生  骨と皮の上級生  骨と皮の上級生  あなたのことが好きだった 骨と皮の上級生  ほんとはわたし知っていた  ほんとはきっといなかった  あなたはきっといなかった でも 体育倉庫で抱きしめて  ガラスの廊下で抱きしめて スクールバスでも抱きしめてくれた あなたはわたしの母だった 骨と皮の上級生  ほんとはわたし知っていた  ほんとはきっといなかった  でもあれがはじめての恋だった 夕べ わたし  誰かの腕に抱かれながら  とても久しぶりに  あなたのことを 思い出した  今にも消えそうな光の描線で描かれた  笑顔が あら ミヤちゃんね どうしたの  星が見えない夜なのかしら と   頭をなでて くれました
3.
車の顔が ぐしゃりと折れた  事故を見た 環七で  舞い降りるストレッチャー お祭りの合図だよ 救急隊員 咲き乱れ 消防署員も 咲き乱れ  警察隊も 咲き乱れ 緊急車両のコロセウム 東京の冬空に 輝く星座をかき集め  一面に環七へ 落とした欠片のペンダント ぺちゃんこドアをこじあけて やっとのことで引っ張り出した とってもとってもとってもとっても 薄くなっちゃった男のひとを  (環七 観阿弥 南無阿弥陀仏) 環七 観阿弥 南無阿弥陀仏 (環七 観阿弥 南無阿弥陀仏) 環七 観阿弥 南無阿弥陀仏 (環七 観阿弥 南無阿弥陀仏) 環七 観阿弥 南無阿弥陀仏 (環七 観阿弥 南無阿弥陀仏) 環七 観阿弥 南無阿弥陀仏 木の葉のような男の人が ストレッチャーに乗せられて  救急・救急・救命士たちと 手に手をとってテイクオフ  電信柱で凍ったままの 直立不動のオブザーバー  お散歩中のレトリバーたちが しっぽを振って大あくび 柿の木坂のマンションの 7階の5号室  誰かのことを待ってる誰かの 夢が 壊れる音がする  その人は その人は やっとのことで引っ張り出されて とってもとってもとってもとっても 薄く薄くなっちゃった (環七 観阿弥 南無阿弥陀仏) 環七 観阿弥 南無阿弥陀仏 (環七 観阿弥 南無阿弥陀仏) 環七 観阿弥 南無阿弥陀仏 (環七 観阿弥 南無阿弥陀仏) 環七 観阿弥 南無阿弥陀仏 (環七 観阿弥 南無阿弥陀仏) 環七 観阿弥 南無阿弥陀仏 零下二度の川をわたる蝋人形の群れ みんな裸で光の滝を登ってゆく 寂しがりやだから 心細いから  どうか 僕のそばにいて下さい 救急救命士たちが  ひとりにひとりずつ  優しく 手を添えて  クレーン車も眠った都会の夜に  消えてゆく 消えてゆく 消えてゆく 東京の 目黒区の  マンションの屋上の  そのまたむこうの北の果て  生まれたばかりの星をみた 柿の木坂の上空の 大気圏ぬけた成層圏の そのまたむこうの北の果て 生まれたばかりの星を見た 父さん母さん ありがとう  兄さん姉さん ありがとう  友達・恋人 ありがとう  みんな みんな ありがとう  真っ赤な祭りに背を向けて  自転車こいで駆けだして  下りの坂を猛スピードで  わたしも空を 空を飛ぶ
4.
それは  巨人の二岡が部屋を抜け出し  三日月に素振りを重ねる頃 真夜中過ぎに生まれた にお君たちが 泡・めき・触れ・なぎ・しながら 虹に色づく白い翼を拡げる それは 翡翠で出来た シャボン玉だ 迷子になってしまった人びとの 行き場のない身体の震えを 一身に 引き受けてしまった にお君 崖の上の まだ  耕されたことのない草原に 二億のれんげが咲き乱れて 真夜中 小さな 小さな星が  放射線状に放たれる そして その星には  王子様が暮らしているんだって にお君 って名前のさ いろんな色した にお君 わがままだったり 気まぐれだったり  照れ屋だったり 寂しがり屋だったり ストレスを感じるとすぐ肌が荒れるほど  繊細だったり わたしのなかから にお君が  煙と吐き出されて  手を振っているよ 愛される性 としての にお君 抱きしめられるために作られた ガラスのオブジェ にお君 臆病だった腕を初めて拡げて にお君 その 寂しさ と やらが  愛する誰かにやっと治療される 誰か?それは  上原だったり 由伸だったり けっして女でなくて 大きな誰かなら  誰でもよかったのだ にお君 抱かれる  にお君 愛される にお君 寂しかったね  にお君 にお君  この瞬間を待っていたね にお君 強く強く求められて にお君 嬉しいね にお君 首筋を舐められて にお君 二億のれんげの原に倒れて  流星の旅路に一瞬の閃光(きらめき) にお君 にお君 にお君 折れるほど強く抱かれる にお君 敏感な身体の にお君 銀河のチャックを開け放ち さざ波は透明なしぶき にお君 失神寸前の涙を流して にお君  にお君 にお君  にお君 にお君  にお君 それは 今夜 わたしになって  また 戻って くる さあ おいでって 手のひらをかざして 星の砂場でキャッチボールしよう 光る糸を引くふれあいを ただ ひとりぼっちで交わそう そうやって少しずつ耕された絹の道で にお君を ちぎっては捨ててゆく わたしたち 臭いね 何か 腐ってるね と思ったら 誰かが食べた にお君のかけらが 風に舞っている いつしか 疲れて 眠る 無邪気な にお君 そっと抱きしめ 幾千のわたしたちが やっと 眠る いつものように おやすみなさい おやすみなさい (おやすみ) それは  巨人の二岡がいつも通り素振りをしている ただの 夜の 話 でした
5.
さて本日のレクチャーは アルツハイマー病についてです 日本もいよいよ高齢社会 介護保険も始まりました あなたのわたしの誰かのみんなの 病いはいつでもそばにいる ビルの向こうにはあの日の空と 昭和 ハンカチ かすかな波音 日本も最近 この疾患が 増加傾向にあるのです アルミも遺伝もありそでなさそで リスクファクターはいまだに不明 初期症状は失見当識 それと記銘力障害です 柔らかな風に刻まれた 空襲 疎開 でっかい太陽 今日は平成何年ですか? 何月何日何曜ですか? あなたの大事な懐中時計 そっと見せて下さいな MRIでは脳室拡大 全体的に委縮しています やせた土の上 見上げた夜空 終戦 復興 明日の足音 現在のところ根本的な 治療方法はまだありません おんなじ病いといったって 経過はそれぞれまちまちです ゆっくりゆっくりほんとにゆっくり あなたが丘を登ってゆきます 日々に追われて 空を忘れて 高度成長と 小さな幸せ 入院外来 ショートステイ デイケア 老健 特養ホーム みんながみんなの幸せ探して 家族はしずかに涙をこぼして ・・・あれ? ・・・あれ? 何を探していたんだっけな 何を探していたんだっけな 誰を探していたんだっけな 誰を探していたんだっけな あなたがすべてを忘れていっても あなたが笑顔でありますように いろんな人に教えてください あなたが感じたすべてのことを あなたの声で教えてください あなたが感じたすべてのことを ふと気がつけば あの日の空が 現在・過去を ハンカチで結ぶ ビルの向こうにはあの日の海が 平成・戦争・今このわたし 耳の遠くにはやさしい海が 平成・戦争・今このわたし 妹たちは 元気でしょうか?
6.
心マ・・・  心マ・・・ 心からの、マ。 その行為はそのとき マ。と略される 心マとは あなたが誰かのしもべになる あなたが誰かの従属節になる と いうこと 心マ・・・。 こころ、マ・・・。 左右の乳首を結んだ線の 真ん中から少し下がったところ 森のかなた 木々の重なりを目指して飛び立つオオムラサキの 羽を拡げたその中央の いちばん柔らかいところを 心マ、する 心マ、する 皮膚に埋められた音叉を鳴らす その籠は壊してもいいのです 籠の中の蝶々を揉みしだくこの手 わたしは あなたの 拍動に なりたい 心臓さんを取り出して 心臓さんにキッスして 愛の心臓マッサージ 心臓さんが朝起きて 心臓さんがおはよーさん! 心臓さんが飯食って 心臓さんは出勤だ 心臓さんが帰り道 心臓さんは恋をして 心臓さんはときめいて 心臓さんは走り出す 愛の心臓マッサージ 疲れた体をほぐしましょう 愛の心臓マッサージ 今夜はあなたの夢をみたい だけどだけど 心臓さんは だけどだけど 心臓さんは 今夜も眠っちゃいけないの 今夜も眠っちゃいけないの 今夜も眠っちゃいけないの 今夜も眠っちゃいけないの 今夜もあなたの夢を見れないの ・・・なんて。
7.
/佐々木丸美を読みながら/いろんなことを思い出す/そういえばわたしもみなしごだったと/うん/そうだったはず/と/ /ひとりぼっちの窓際で/少女がムセイするとき/物語に飢えている/わたしは/自分が/こんなにも語りたいことに/気づいてしまった/わたしは/じつは・・・・だから/・・・・だって/暗黙裡に説明したい/暗黙裡にわかってほしい/わたしが/わかってほしいと思う形で/わかって/ほしい/ /東京/高層マンションのガラスに頬をつけて/ゴツゴツしている空の下/「まだ見ぬお母さんわたしのことを見守っていてください」/「まだ逢ったことのないお父さんわたしに逢ったら抱きしめてくださいね」/ご飯ですよ何度呼んだらわかるの/ご飯だぞ何度呼んだらわかるんだ/・・・・/中学生デブだってわかられたい/中学生デブだって繊細なんですわかってください/わたしはこんなにもわかられたい!/ /つまり/わたしはいつだって被害者で/かわいそうで/いじわるなお姉ちゃんやお兄ちゃんにいじめられて/でも/ひとりだけ味方がいて/自分をかすみ草にたとえることに無理がないほど儚げである/かのような/破綻をガムテープで補填したかのような/わたしの物語を/それにしても/腹減った/ /雪が降ってきた/駅前には待ち合わせの恋人たち/六時の鐘が鳴りました/粉雪に傘をさして/ひとつ/またひとつ/足跡たちが遠ざかってゆきます/赤信号だけがまぶたに熱い/ある冬のこと/それは中学生だったんです/お年玉の貯金が三万円あって/これで/家を出ようと思いました/ /おじさんに買われたかった/おじさんに買ってほしかった/でも/おじさんに買ってもらうには/どうしたらいいのか/わからなかった/翼を持たない中学生が空を飛ぶには/あまりに不便な時代だった/キヨスクでガムを買って時計台をにらんで/誰かが自分をさらってくれないもんかと願ったけど/氷の女神が頬を撫でていった/だけ/・・・/ /これって単なる「待ちぼうけ」じゃん!/駅員さんのグレイのコートに/雪が/ふわふわふわふわふわふわふわふわ/「こら どうしたんだい おチビちゃん」/なんて/誰か年上の男性が/優しく頭を撫でてくれるような/夢/ ・・・・/ /こら松岡/ぼーっとするな!/突然/塾の先生がわたしを怒鳴る/国立高校進学コースだと/理科と社会もあったんだ/わかんないよ/眠いよ/ああ/塾の先生も/わたしのことを/そんなにも/愛してくれているのだわ/・・・・/なんて/ 佐々木丸美を読みながら/いま思う/わたしは本当に物語がほしかった/そして/今でも物語がほしいのだ/松岡宮は32歳/夫あり/で/わたしにTOM★CATのCDを貸してくれたお姉ちゃん/しかもわたしは壊して返した/わたしに自作PCを作ってくれたお兄ちゃん/しかも/それもわたしは壊して返した/猫の世話をしているお父さん/しかもわたしが買った猫だったりする/そして/わたしのことをわからないまま死んでいった/お母さん/
8.
大脳 中脳 間脳 小脳  I know, you know, can know, show NO! 愛の 宇宙の 神の ショウの  I know, you know, can know, show NO!  あなたと過ごした記憶のかけらを  探しに僕は旅に出たのさ  二度とは会えないあなたなら  きっといつでも会えるはず 後頭葉はOccipital 17の原に鳥の溝   はるかな宇宙を飛んでゆけ  純粋失読 物体失認 頭頂葉はParietal  小高い丘の頭の上  40の原は縁上回  39角回 失読失書 3/1/2で中心後回  柔らかだった唇と  5/7の原で綱渡り  体性感覚連合野 もっと光を もっと電気を  もっと刺激を もっと下さい  誰か 誰か 見ませんでしたか? 大事なひとを 探しています 大脳 中脳 間脳 小脳  I know, you know, can know, show NO! 愛の 宇宙の 神の ショウの  I know, you know, can know, show NO! 前頭葉はFrontal 4/6の原は運動場  あなたに向けてボールを投げる 小脳それを記憶する 44の原はBroca野  運動性言語中枢  思ったことを声にして あなたにちゃんと今度は言います ロボトミー手術 前頭前野  9/10/11/46/47 僕がもし僕じゃないような 僕になっても見つけ出してね ペンフィールドの悪巧み  シルビウス裂の谷底で  疲れた身体を横たえて  遠すぎる星を見上げてた 辺縁系で海馬が笑う 大事なひとをもう忘れたの? そんなことない そんなことない  忘れたくない 僕はあなたのすべてを 20/21/28野 稲妻 僕を 切り裂けば  ふいにあなたのあなたの顔が  そこに浮かんで僕を呼んでる 側頭葉はTemporal 22番目のWernicke  あなたの優しい声がする  あなたの優しい声がする ああ よく来たね  あなた 手を振って  僕を呼ぶ おいでって   そのまま二人 さらわれてゆく 海馬にまたがり空駆ける あなたとならば怖くない  もう離さないで  もう離さないよ
9.
「これから車掌 1号車から  切符を回収に参ります  おやすみになるお客様は  切符を目立つところに  置いておいて下されば けっこうです  車掌が それでは参ります」 きみにも だれにも  少年だったころが あったのだろうか 西武線 小江戸号  車掌は そんなことを 考えて  切符を集めていた こんな夜更けに  所沢から高田馬場まで向かうひとの  事情は きっと いろいろだろうけど どんなに くたびれた人間でも  寝顔は なぜだか愛しくて 車掌は それぞれの乗客が  ほんのつかのま 少年に戻る旅を 邪魔せぬよう 起こさぬよう  切符を回収する  夢の国への切符切り きみにも だれにも  少年だったころがあったのですか? 私は そして  そんなことを 問いかけながら  切符を渡した そうですよ  あなたに少女だったころがあったように。 車掌はそう答えて また日常業務に 戻る それでは行ってらっしゃいと  手を振る車掌 どこへ? どこへ? ついておいで。 粒よりな街灯りに飾られて 不連続に時をかける特急列車 それはキラキラ夢みる小江戸号  たどり着く先は  かみしゃくじじぃへ  たかだのばばぁへ  そう 終着駅は だれしも 同じ

credits

released May 25, 2005

Photography: prayer

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